LPガス読本 LPガスはクリーンエネルギー LPガスとスマートハウス 様々な分野で利用されるLPガス 世界に広がるLPG車 災害に強いLPガス 安全・安心LPガス LPガスの安定供給 エネルギー政策とLPガスの未来 資料編
第八章 エネルギー政策とLPガスの未来

我が国のエネルギー政策動向とLPガス

エネルギー基本計画とは

 我が国のエネルギー政策の基本方針を定めた法律として、議員立法により、「エネルギー政策基本法」が平成14年6月に制定されました。法律では、その具体的な方針を示した「エネルギー基本計画」の策定を政府に義務付けています。

エネルギー基本計画(第四次計画)

 東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故を始めとした、エネルギーを巡る大きな環境変化を踏まえて同計画の見直しが進められ、平成26年4月11日に第四次の計画となるエネルギー基本計画が閣議決定されました。
 この第四次エネルギー基本計画において、LPガスは独立した一次エネルギーとして、下記の通り明確な位置付けがなされています。

第四次エネルギー基本計画における主なLPガス関連記載(抜粋)
【LPガスの位置付け】
 中東依存度が高く脆弱な供給構造であったが、北米シェール随伴の安価なLPガスの購入などが進んでおり、地政学的リスクが小さくなる方向にある。
 化石燃料の中で温室効果ガスの排出が比較的低く、発電においては、ミドル電源として活用可能であり、また最終需要者への供給体制及び備蓄制度が整備され、可搬性、貯蔵の容易性に利点があることから、平時の国民生活、産業活動を支えるとともに、緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源である。
【LPガスの政策の方向性】
 災害時にはエネルギー供給の「最後の砦」となるため、備蓄の着実な実施や中核充填所の設備強化などの供給体制の強靭化を進める。また、LPガスの料金透明化のための国の小売価格調査・情報提供や事業者の供給構造の改善を通じてコストを抑制することで、利用形態の多様化を促進するとともに、LPガス自動車など運輸部門においてさらに役割を果たしていく必要がある。
【石油・LPガスの最終供給体制の確保】
 LPガスについては、熱電供給により高い省エネルギーを実現する家庭用の定置用燃料電池(エネファーム)等のLPガスコージェネレーション、ガスヒートポンプ(GHP)等の利用拡大、都市ガス事業、水素燃料供給事業への進出や、アジアへのLPガスの安全機器の輸出などに取り組むことが求められる。また、現在でもタクシーなどの自動車はLPガスを主燃料としており、運輸部門における燃料の多様化を担うことも期待される。
【石油備蓄等による海外からの供給危機への対応の強化】
 LPガス備蓄については、2013年3月に2つの国家備蓄基地が完成し、5基地体制となった。同年8月末には、これら2基地に備蓄するため、米国からシェールガス随伴のLPガスを積んだ第一船が入港した。今後、国家備蓄LPガスの購入・蔵置を着実に進めていく。
【「国内危機」(災害リスク等)への対応強化】
 LPガスについては、LPガス輸入基地への非常用電源車の配備、災害時に地域における燃料供給拠点となる中核充填所の設備強化を進めるとともに、「災害時石油ガス供給連携計画」に基づきLPガス販売事業者等が共同で供給運用を行うことや訓練を実施するなど、緊急時のLPガスの供給を円滑にするための体制を整備する。
 社会の重要インフラと呼びうる政府庁舎や自治体庁舎、通信、放送、金融、拠点病院、学校、避難所等の施設では、停電した場合でも非常用電源を稼働させて業務を継続し、炊き出し等で国民生活を支えられるよう、石油・LPガスの燃料備蓄を含め個々の状況に応じた準備を行うべきであり、対応を検討する。

国土強靭化基本計画

 「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法」が平成25年12月11日に公布・施行されました。そしてこの基本法に基づき国土強靭化を推進するため、平成26年6月3日に、国土強靭化基本計画が閣議決定されました。
 この国土強靭化基本計画においても、LPガスに関する記載が盛り込まれており、防災・減災面でもLPガスへの期待が高まっています。

国土強靭化基本計画における主なLPガス関連記載(抜粋)
【施策分野ごとの国土強靭化の推進方針(4)エネルギー】
 製油所の緊急入出荷能力の強化や、石油製品、石油ガスの国家備蓄量の確保に向けた取組を推進するなど、大規模被災時にあっても必要なエネルギーの供給量を確保できるよう努めるとともに、被災後の供給量には限界が生じることを前提に供給先の優先順位の考え方を事前に整理する。
【~プログラムごとの脆弱性評価結果より~】
 燃料供給のバックアップ体制を強化するため、災害時石油供給連携計画並びに災害時石油ガス供給連携計画、石油精製・元売各社におけるBCPを策定したところであり、訓練の実施等を通じて実効性を高めるとともに、体制の充実強化や計画、BCPの見直しを図る必要がある。
 エネルギーの末端供給拠点となるサービスステーション・LPガス充填所等の災害対応力を強化するとともに、工場・事業所等において自家発電設備の導入や燃料の備蓄量の確保等を促進する必要がある。
 石油及び石油ガスの国家備蓄基地の耐震工事を実施中であり、これを着実に完了させる必要がある。また、石油製品、石油ガスの国家備蓄量の確保に向けた取組を推進する必要がある。

日本再興戦略改訂2014

 政府は日本経済再生に向けた「三本の矢」による経済の好循環を一過性のものに終わらせず、持続的な成長軌道につなげるべく、平成26年6月24日に、日本再興戦略改訂2014の閣議決定を行いました。
 この日本再興戦略改訂2014においても、LPガスに関する記載が盛り込まれており、LPガスの位置付け向上を感じ取ることができます。

日本再興戦略改訂2014における主なLPガス関連記載(抜粋)
【環境・エネルギー制約の克服~施策の主な進捗状況より~】
 製油所における「非常用3点セット」導入の促進、改正備蓄法に基づく中核SSの全国的な指定やLPガス中核充填所の整備など、リスク対応力を強化したほか、石油コンビナート設備最適化を促進すべく、事業所間を結ぶ配管設置支援などの連携事業を実施した。
【環境・エネルギー制約の克服~新たに講ずべき具体的施策より~】
 市町村の計画等に石油・LPガスの安定供給確保策を新たに位置づけるなど、関係省庁・自治体等との連携を強化する取組等を通じて、地域の産業・生活インフラ基盤を強化する。

総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会、石油・天然ガス小委員会 中間報告書

 総合資源エネルギー調査会の資源・燃料分科会および石油・天然ガス小委員会では、エネルギー基本計画で示されたエネルギー政策の視点などを踏まえ、平成26年7月に、今後の資源・燃料政策の方向性についての中間報告書を取りまとめました。
 中間報告書では、「海外からのエネルギー資源供給の不確実性への対応」、「災害時に備えたエネルギー需給体制の構築」および「エネルギー供給を担う産業の事業基盤の再構築」について、石油・天然ガスと並列にLPガスに関する記載がなされています。

中間報告書における主なLPガス関連記載のポイント(抜粋)
【海外からのエネルギー資源供給の不確実性への対応】
  • 中東産ガス国との良好な関係を維持しつつ、北米シェール随伴LPガスの調達を拡大
  • さらに、新たな選択肢としてアフリカ、南米からの調達を検討するなど、引き続き供給源の多角化に取り組む
  • 北米からの調達をさらに進め、価格体系を多様化させることで調達価格の低減につなげ、サウジCPの引下げのための重要なレバレッジとしていく
  • LPガス元売会社のバーゲニングパワーを一層強化するため、今後さらなるLPガス元売会社の共同調達や再編といった動きに期待
  • 国家備蓄については、引き続き150万トンまでLPガスの積み上げを図る。その際、管理コストの合理化についても一層の努力を行う。また、需要・輸入動向やその見通しの変化などを踏まえ、要すれば備蓄水準について検討
  • 民間備蓄については、地政学リスクの低い国からの新たな調達が行われることで、実質的に備蓄によらなくても必要量を確保できる蓋然性が高まることを踏まえ、基準備蓄量の見直しを検討する余地が生まれる可能性がある
  • 実際に民間備蓄の基準備蓄量を見直す場合には、①有事の際に国内に確実に供給できるだけの信頼できる体制や事業計画等を事業者が策定していること、②石油ガス輸入業者の備蓄コストが減少する場合における確実な流通価格への反映等が担保されていることなどが前提となり、これらを慎重に見極めて検討
  • また、石油需給適正化法に基づく政策的な燃料需要抑制下での優先供給についても石油と同様に、その解釈・執行について、供給側と需要側の双方を交えて議論し、体制を整える必要
【災害時に備えたエネルギー需給体制の構築】
  • LPガス中核充填所の整備数が少ない地域については、災害時石油ガス供給連携計画を見直していく中で、LPガス中核充填所と同等の機能を有する充填所の参画を促すことなどを通じて、更なる災害対応能力の向上を進める
  • 各家庭におけるLPガスの「自衛的備蓄」と同様、「社会的重要インフラ」と呼びうる政府庁舎や自治体庁舎、通信、放送、金融、拠点病院、学校等の施設や災害時に避難所となるような施設において、備蓄の規模を増大させ、また燃料源を多様化する観点から、LPガスを貯蔵する災害対応型LPガスバルク等の導入を促進
  • 首都直下地震や南海トラフ巨大地震などを想定したLPガス輸入基地の耐震性の強化等についても、事業者が計画的に最新の耐震基準への適合を図ることを支援
  • 運輸部門の燃料多様化の1つとして、LPガス自動車の普及を促すとともに、家庭で電力が途絶した場合においても持続的なエネルギー供給が可能となるよう、蓄電池を内蔵した自立型のエネファームの導入支援を引き続き進める
  • 災害時石油ガス供給連携計画に基づく防災訓練については、情報伝達訓練のみならず、LPガスサプライチェーンを一体化した実地訓練として実施していくことにより、災害時に機能する体制を整備
  • 都道府県LPガス協会と自治体との災害協定の更なる充実や、地域防災計画、国土強靭化地域計画に明確に位置付けられることを促す
【エネルギー供給を担う産業の事業基盤の再構築】
  • LPガスに関する国際会議などにおいて、日本のLPガス機器・LPガス安全機器などのPRを行いながら、LPガス産業の国際展開を促進
  • LPガスの供給網及び特性を活かし、それぞれの地域のニーズに応じたビジネスを展開していくことは、LPガス販売事業の経営基盤強化につながる
  • LPガスの集中監視システムを高齢者見守りサービス等として地方自治体が地域社会の中で活用する事例もあり、今後さらに販売事業者と自治体との連携を進める
  • 価格の透明性、低廉性を確保するなど、LPガス販売事業者が消費者からの信頼を得られるような企業努力が不可欠
  • 充填所の集約を通じた配送の合理化や、民間団体等が行う系列を超えた取組等のLPガス販売事業者の更なる供給構造の改善を促進
  • 小売価格や標準価格等のHPへの公表、各地域においてどのLPガス販売事業者と契約ができるのかの情報のデータベース化と公表などを全国的に広めることにより、価格の透明化と選択肢の拡大による適正な競争の実現を後押し
  • 「特定商取引法」により禁止されている不実勧誘に該当する悪質な顧客勧誘事例もあることから、関係省庁と協力しつつ、早急に適切な対処を行う
 このように我が国のエネルギー政策においては、LPガスは明確な位置付けがなされるとともに、期待される役割は増加していますが、一方で克服するべき課題の指摘もなされています。
 LPガス業界として、課題の克服に真摯に取り組み、対応を進めていくことによって、LPガスへの期待に応えていく必要があると考えられます。
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